京都 中内建材店の素材について(色土, 京土, 聚楽, 本聚楽土, たたき, 三和土)
本聚楽土
京都の聚楽第(西陣)付近で採れる上質な土のことです。
豊臣秀吉が自らの権力を誇示するため造営した聚楽第は、天正14年(1586年)2月に着工し、翌年9月に竣工しましたが、養子秀次が住みつき、文禄4年(1595年)秀次が謀反の疑いで追放されたあと、秀吉は破却を命じます。
その跡地付近(京都の西陣)で建築工事での基礎工事掘削の段階で地下2~3m掘ると聚楽の層にあたり(30cm~2m)採取し貯蔵します。
次に採取した聚楽を天日に乾燥させ(十分乾燥)、石臼で餅つきの要領で約1時間程度かけ粉砕(粘土分だけ粉砕)し、粉末になった聚楽を3厘目の通し網にてフルイ、製品となります。
また、他の土色についても石臼で粉末にして製品となりますが、土の産出場所はいろいろで、現在は一定の山に無いのが現状です。
当社では、いろいろな情報を収集し色土を確保しています。
商品名 | 下地の種類 | 下地処理および対策 |
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本聚楽土セット 錆出しセット |
石膏ボード | ジョイント処理後、下地調整材を塗付け乾燥後施工してください。 |
中塗土 | 中塗土か乾燥してから施工してください。 | |
石膏 | 乾燥してから施工。吸水の激しい場合は、土壁下地調整材を塗付け乾燥後施工してください。 | |
中塗仕上げセット 黄土中塗仕上げセット |
石膏 | 石膏全体にクシ目を入れ、アクリル系プライマー4倍液で塗布し乾燥後施工してください。 |
三和土セット | 土 | 約25~50mm前後の砕石(石だけの物)を撒き、軽く転圧し施工。 |
コンクリート |
・約25~50mm前後の砕石(石だけの物)を撒き軽く転圧し施工。 ・均一な土間の場合は、よく清掃してからプライマー処理し、乾燥後モルタルを10mm程度塗り、乾燥しないうちに配合した三和土セットを撒いて施工。 |
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京の黒土間 | コンクリート | ・均一な土間の場合は、よく清掃してからプライマー処理をし、乾燥後施工。 ※注意・・ プライマーが乾燥せずに施工すると、白華及び引きムラ、色ムラ等発生する場合があります。 |
無機質モルタル雪月花 | コンクリート | ・均一な土間の場合は、よく清掃してからプライマー処理をし、乾燥後施工。 ※注意・・ プライマーが乾燥せずに施工すると、白華及び引きムラ、色ムラ等発生する場合があります。 |
草の壁楽傳 | 石膏ボード | ボード下地のジョイント部分はメッシュテープ完了後、パテによる処理(パテによる突起はペーパーにて平滑にする)をし、カチオンシーラー等で全面に2~3回塗布する通常ペンキ下地処理による方法でも可能です。 (ベーベルボードの場合は溝部を先にパテ処理をし、メッシュテープにて施工) |
草の壁螺鈿 | 石膏ボード | ボード下地のジョイント部分はメッシュテープ完了後、パテによる処理(パテによる突起はペーパーにて平滑にする)をし、カチオンシーラー等で全面に2~3回塗布する通常ペンキ下地処理による方法でも可能です。 (ベーベルボードの場合は溝部を先にパテ処理をし、メッシュテープにて施工) |
商品名 | 正味質量セット | 標準塗り厚 |
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本聚楽土セット | 約13.5kg / 1坪用 | 1.5~2mm厚前後 |
本聚楽土切返しセット | 約13.5kg / 2㎡用 | 3mm厚前後 |
中塗仕上げセット 黄土中塗仕上げセット |
約15kg / 1セット・1坪用 (専用砂別途必要) | 6~8mm厚 |
京の黒土間 | 約20kg / 1セット 5mm厚・2㎡ / 10mm厚・1㎡ | 5mm厚~ |
無機質モルタル雪月花 | 約22kg / 1セット 10mm厚・1㎡ | 10~20mm厚 |
草の壁楽傳 | 約10~18kg / 1セット 約5~7㎡ | 約1~1.5mm厚前後 |
草の壁螺鈿 | 約10~18kg / 1セット 約4~5㎡ (螺鈿:1セット当り5個付き) |
約1.5mm厚前後 |
ー ご注意 ー
本聚楽仕上げに鉄粉を入れて人工的に「さび」がでるようにしたのが本聚楽土の「さび」出し壁です。
さびが出るまでに約3~8ヶ月程度かかります。
厚さ2mm以内で塗り上げ梨子地肌に仕上げる伝統的な最高級聚楽土の壁です。
引き摺り仕上げにも使用できます。
聚楽仕上げよりも少し粗目のみじん砂(五厘目)、端麗されたヒシダスサ(約1cm前後)を使用していますので、重量感があり「ざっくり」とした肌を表現する最高級壁。(鉄粉入り「さび出しセット」もあります。)
土間の製品では仕上がり面に白華現象(エフロレッセンス)が生じる事もありますが、強度などには問題がありません。説明書をよくお読みください。
気温が5℃以下の場合は施工を見合わせてください。
※この商品は自然のままの土を使用しています。ロットなどにより色差があることをご了承ください。
また乾燥度合いにより色調が変化します。
※仕上のパターンの色・柄・風合い及び商品等は現物と若干の相違があります。
実験 香川職業能力開発短期大学校 講師 宮本欣明
講師 内間分顕
監修 滋賀職業能力開発短期大学校 講師 杉本誠一
はじめに
建築物の高気密化が進む中で、内装仕上げ材の調湿性能を知ることは、快適な室内環境を計画する上で不可欠なことと考え実験を行った。
古くから日本の住まいは、高温多湿の夏を旨として、調湿性の優れた木材や、紙および土などの自然材料を利用してきた。また、通風を良くすることや高床式にすること、又、開放的な間取りによって多湿を防いできた。一方、近年の住まいは高気密、高断熱性を指向し、アルミサッシや金属パネルなどの利用がされ、また室内は施工性からビニールクロスやプラスターボード(BP)、表面樹脂加工製品が多用されている。室内の温度調整は冷房機によって調整がたやすくなっているが、湿度に関しては無対策の状況であり、湿害の発生しやすい環境にある。内装仕上げ材で調湿効果が期待できれば、より快適な空間を生み出せることと考え実験を行った。
実験概要
試験体寸法は400mm × 250mmとし、小口、裏面から吸放湿防止のため側面にシリコンを塗り、裏面はプラスチック板に固定した。
この試験体を恒温恒湿槽内を所定の温度に設定して、試験体を電子天秤(精度:0.1g)にて時間経過毎に質量(重さ)を測定した。
実験経過中、①土壁(10mm)、②モルタル(10mm、1:3)、③普通合板(12mm)、下地ビニールクロス仕上げ、④プラスターボード(9mm)下地布クロス仕上げ、⑤普通合板(12mm)、⑥プラスターボード(9mm)の結果を紹介する。
仕上げ材の吸湿実験
試験体を湿度50%の保った恒温恒湿槽内で質量が安定するまで養生し、その後恒温恒湿槽内の湿度を80%に設定し、時間経過に応じた試験体の質量の変化を測定した。すなわち、表面から吸収する水分量だけ重さが増していくことになる。
実験結果より・・・、
1.下地材でみると初期段階で吸湿量は、土壁→合板→モルタル→PBの順であるが、長期的には合板の吸湿量が大きくなる。
2.合板は吸湿量が大きいが表面にビニールクロス仕上げを行うと、吸湿量が極端に小さくなる。
3.プラスターボードは吸湿量が小さいが、布クロスで仕上げると吸湿量が大きくなる。
このことから、最終表面仕上げ材によって吸湿量は大きく制限されることが判る。現在の一般的な住宅の仕上げはPBもしくは合板下地にビニールクロス仕上げが多用されているが、最終仕上げを土壁仕上げや木質仕上げにすれば調湿効果が高いものと考えられる。